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RACE REPORT

2021.08.20

スーパー耐久シリーズ2021 Powered by HANKOOK参戦レポート
~第4戦 オートポリス~

スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankookの第4戦『TKUスーパー耐久レースinオートポリス』が7月31日~8月1日に大分県オートポリスインターナショナルレーシングコースで行われ、103号車ヒロマツデミオ マツダ2(佐々木孝太/妹尾智充/大崎悠悟)は、健闘むなしくトラブルによりリタイアとなった。

吉田綜一郎が欠場となり、急きょ大崎悠悟が参戦

前回の富士24時間レースから、約2ヶ月のインターバルを経て開催された第4戦。ここまでライバル陣営のパフォーマンスに屈することの多い103号車だったが、オートポリスは過去に優勝経験もある相性の良いコース。チーム全員が『ここが勝負どころ』と捉え、事前テストをするなど念入りに準備してきた。

また今回から、過酷なレースの現場でドライバーやメカニックが高いパフォーマンスを発揮できるように…との配慮で「キャンピングトレーラー」が登場。「ヒロマツグループの福利厚生用トレーラーをサーキットで活用し、現場で調理した温かい食事をスタッフに提供することでレースへの活力につなげてほしい」という、チームオーナー・松田哲也会長からの粋な計らいだ。

前回の富士24時間でマネージャーとしてチームを支えた瀬川ゆずさん、梶本菜々さんがケータリングスタッフとしてメンバーにパスタやサンドウィッチなどを提供。いつもは緊迫した空気に包まれるピット内だが、食事の間だけはメカニック陣からも笑みがこぼれていた。

そんなオートポリス戦だが、開幕直前になって急きょ体制変更を迫られる。Bドライバーとして開幕戦から活躍していた吉田綜一郎が体調不良のため欠場となり、代わりに妹尾智充がBドライバー、大崎悠悟がCドライバーとなり、3人体制で挑むこととなった。

ロードスター勢には屈するもFF車の中では予選クラス最上位を獲得

練習走行から夏の強い日差しが照りつけ、31日(土) の公式予選の朝の気温は27度、路面温度32度だったが、予選中は路面温度が60度を超え、タイヤ空気圧の変更等、直前にセット変更を強いられる場面があり、今シーズンのスーパー耐久の中では一番の暑さとなった。

直前のフリー走行ではST-5クラストップタイムを記録した103号車だったが、開幕戦から続くマツダ・ロードスター勢の優位は変わらず。予選も彼らが先行する形になったが、それでも、ひとつでも上のグリッドを獲得すべく最善を尽くした。まずはチームのけん引役である佐々木孝太がAドライバー予選 2分13秒610 をマークし、クラス4番手につける。続くBドライバー予選では妹尾がアタックを担当。このチームでグリッドポジションに関わる予選を担当するのは初めてだったが、落ち着いた走りを見せ 2分14秒098 でクラス7番手となった。

2人のタイムを合算した総合結果では4分27秒708。ST-5クラス5番手と決して上位と言えるポジションではなかったが、103号車と同じFF車両の中ではクラストップにつけ、できる限りのパフォーマンスをみせた予選だった。

霧で赤旗中断など波乱含みとなった決勝レース。順調に周回を重ねるも…

迎えた8月1日の決勝日は、朝から雨模様。今回からハンコックタイヤが新スペックのレインタイヤを用意したのだが、連日の酷暑でテストする機会も無く、これを装着するのは決勝前のウォームアップが初めて。好感触であることを期待したが、ウエットコンディションになるとフロントタイヤの消耗が特に激しく、実際には勝ち目がかなり薄れてしまいそうな状況だった。

朝のうちは雨量も多かったオートポリスだが、決勝のスタート時刻が迫るにつれ雨は小降りに。レース後半には「コンディションが回復する」という予報が出ていたこともあり、コースはまだウェットだったが、スリックタイヤを選択してレース開始に臨んだ。

スタートドライバーは今回も佐々木が担当。序盤は路面が濡れていたことも影響し、1周目からポジションを落としてしまったが、そこから思わぬ展開が待ち構えていた。スタート直後から路面状況は回復していったが、霧でコースの視界が悪化し、2周目にセーフティカーが導入された。一度解除してレース再開を試みたが、それでも状況は悪くなる一方。開始40分のところで赤旗が出されてレースは中断となった。

視界が回復し 12時45分にレースが再開となったが、その間に雨は完全に止み、少しずつドライ路面になっていった。これを見て、レインタイヤでスタートした他チームは続々とピットインを余儀なくされたが、当初からスリックタイヤを履いた103号車はそのままレースを続行。42周を走りきって最初のピットストップを行い、大崎にバトンタッチした。

ペース的にはライバルより勝るという状況ではなかったが、スタートから地道に追い上げたことで表彰台圏内も見えつつあった。とにかくミスなく周回を重ねようとする大崎だったが、残り 1時間30分を迎えようというところで、ミッションブローが発生し、ギアが入らなくなる症状に見舞われた。

なんとか対処しピットに戻ろうとする大崎。しかし、今度はエンジンセンサーにも不具合が発生。コース後半の上りセクションでストップしたマシンはリペアエリアに運ばれ、エンジンがかかる状態にしたのちピットガレージまで戻ったものの、残り時間内でマシンを修復することは不可能な状態で、チームはここでリタイアを決断し15:05リタイヤ届を提出した。

HMRとしては、2019年の富士24時間レースでガス欠によりゴール直前でストップすることはあったが、残り時間がある状態でのリタイアは初。参加メカニックたちは、誰も言葉を発することなく、ただ悔しい表情を見せていた。