スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankookの第3戦『NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース』が5月21日~23日に富士スピードウェイで行われ、103号車ヒロマツデミオ マツダ2(佐々木孝太/吉田綜一郎/妹尾智充/大崎悠悟/吉田隆ノ介)はST-5クラスで8位完走を果たした。
3度目の24時間挑戦、万全の体制で臨む
スーパー耐久シリーズの中で最も過酷、かつ 一番ポイントを稼ぐことができる富士 24時間レース。三度目の挑戦となる今期は、これまでの経験をもとにさらに体制を強化してレースに臨んだ。
ドライバーは、レギュラーの佐々木孝太、吉田綜一郎、妹尾智充に加え、昨シーズンの全レースにフル参戦した大崎悠悟 と 昨年の24時間メンバーだった吉田隆ノ介を助っ人に起用。さらに、各自がまとまった休憩時間をとることで負担を軽減できるようメカニック勢にローテーション制を導入し、チームを影で支えるマネージャーも2人体制にするなど サポート環境にも配慮した。
マシンに関しても、富士 24時間レースに向けてセッティングを再度見直した。以前から調整が続いていた“対策部品”の使用認可が下りたため、レース直前になって急遽ミッションを交換。週末のレースで“勝つ”ために、前日に予定されていた夜間テスト走行への参加をキャンセルして万全の準備を施した。
金曜の公式予選は悪天候で中止に
富士24時間レースの場合、公式予選は初日となる21日(金)に行われるが、この日の富士スピードウェイは朝から横殴りの大雨に見舞われてしまう。当初は12時スタートの予定だったが、悪天候により開始時刻が順延されることとなった。
前日にミッション交換を行ってから一度も走行していない103号車。まずは確認も兼ねてウエットコンディションでも走りたいところであったが、結局天候は回復せず、15時過ぎに全予選セッションの中止が発表された。
なお、決勝グリッドは「前戦までのポイントランキング順」で決定するため、103号車は ST-5クラス 3番手、総合43番手からスタートを切ることとなった。
序盤にまさかのトラブルでタイムロス
22日(土)の決勝レース。曇り空となったもののドライコンディションで、15時にレースが始まり 佐々木がスタートドライバーを務めた。
今シーズンの課題となっているマシンセッティングに関して、開幕戦に比べてかなり改善が見られたものの「一発の速さ」という点では、まだまだライバルが上を行っているという状況。それでもチームは、長い24時間で着実に逆転を狙うべく、ペースを守ってミスやトラブルのない走りに徹することを心がけた。
レース開始から3時間30分。順調に走行を続けていた103号車だが、ちょうど夜間走行が始まったところで、まさかの事態が発生してしまった。
富士 24時間レースでは夜間走行用として「発光式ゼッケン」を装着しなければならないのだが、それがうまく点灯しなかったのだ。大会ルールで定められている以上、ゼッケンが点灯しないまま走行を続けるとペナルティ対象となってしまう。そこで応急処置を行うこととなり、12分ものタイムロスを余儀なくされた。
今レースには、開始から20時間を経過するまでに10分以上の「メンテナンスタイム」を設けねばならない、というルールもあったため、ここに「発光式ゼッケン」の応急処置を割り当てることで幾分かロスは軽減されたが、本来レースの折り返し(12時間経過)付近で行うピットストップをかなり早いタイミングで消化することとなったため、中盤以降はブレーキをはじめ、マシンを労わりながらの走行となってしまった。
我慢の走りを強いられるも、全員で力を合わせ8位完走
序盤に起きた思わぬトラブルにより、ST-5クラスの9番手まで後退してしまった103号車。その後は、セーフティーカー導入のタイミングに合わせて給油を行う、低燃費での走行を心がける…など、ピットストップで生じるロスを少しでも減らせるよう努力を重ねた。幸いマシンは大きなトラブルもなく順調に走行。どのドライバーもペース良く周回を重ねていったが、上位との差はなかなか縮まらなかった。
なんとか順位を上げてトップに追いつかなければ……。その思いが焦りにつながったのか、レース最終日となる23日(日)の早朝にピット作業違反をとられ60秒のストップ&ゴーペナルティを受けてしまった。その後、フロントブレーキパッドがチェッカーフラッグまで持たないことが分かり交換。さらに、エンジンが吹かなくなるトラブルにも見舞われ、緊急ピットインで修復に21分40秒を要する…など不運が続いた。結果、計30分強のピットストップを余分に強いられ、上位戦からは完全に脱落。しかし全員が最後まで諦めずに戦い続け、トップから22周遅れのST-5クラス8位で最終チェッカーを受け、無事に完走を果たした。
長丁場の戦いを終えて。帰ってきたマシンを迎えたチームスタッフたちには、無事に24時間を走りきったという安堵の表情、そして優勝を逃した悔しさが滲み出ていた。
広島マツダ 松田哲也会長 コメント
「昨年はライバルとの差が大きくある状態で、その中でチャンスを狙って上がっていこうというレースでした。今年はチームのピット作業が早くなり、ドライバー5人のレベルもしっかりとしてクルマも良くなっている感じがあったので、今回のレースにも、“真っ向勝負”とまではいかないが十分に戦えるだけの手応えを持って臨みました」
「ここまで故障もほとんどなかったし、ドライバーのミスも少なくなっていたので富士 24時間レースには結構期待していました。ただ…タラレバを言っても仕方ありませんが、今回は、ほんのちょっとした何かのかけ違いみたいなものがきっかけになり、その差がどんどん離れていってしまったという印象。しかしながらクルマも非常に良かったしペースも良かった。正直、昨年の3位よりも今年の8位の方がトップに近かったのではないかと思います。だからこそ、悔しい気持ちもある。今シーズン残り3戦になりました。このデミオをどこまで高められるか…。最高の結果を目指してひき続き頑張ります」