REPORT

RACE REPORT

2019.06.03

ピレリ・スーパー耐久シリーズ2019参戦レポート
~第3戦富士~

6月1日・2日にピレリ・スーパー耐久シリーズ2019第3戦『SUPER TEC富士24時間 レース』が静岡県の富士スピードウェイで行われ、101号車ヒロマツ デミオ(吉田綜一郎 /佐々木孝太/KENBOW/檜井保孝/小山佳延)は途中トップ争いに加わる活躍を見せるも、ガス欠によりリタイアを余儀なくされた。

シリーズで最も過酷な「24時間レース」に挑戦!

今回はシリーズ最長となる24時間レースということで、チームも念入りに長丁場のレースを乗り切る対策を施してサーキットへ。広島マツダの各ディーラーのメカニックも12人が派遣された。本来は8人を予定していたが「1人でも多くの人にモータースポーツの現場を体験させたい」ということで、当初よりも多い人数のメカニックが今回のレースに臨んだ。しかし、いつもより人数が多い分、初日の木曜日などはメカニックが効率よく動けず、手持ち無沙汰になるスタッフもいるなど、課題が残るレースウィークのスタートとなった。

今回はマシンを新車に変更。事前にテスト走行する機会がなく、木曜日の専有走行がシェイクダウンになるなどぶっつけ本番となったが、Aドライバーの吉田は「シェイクダウンから調子がよくて、クルマ自体は仕上がっている感じでした」と好感触を得ていた。
その調子を維持し、5月31日に行われた公式予選ではライバルを上回る速さを披露した。吉田がAドライバー予選で2分07秒165を叩き出しトップに浮上すると、Bドライバーの佐々木も2分06秒700を記録。ここでは2番手タイムとなったが、総合タイムでST-5クラス2戦連続でポールポジションを獲得した。

序盤から好ペースで周回するも、ナイトセッションで不運なアクシデント発生

迎えた6月1日の決勝レース。101号車ヒロマツ デミオはE・Fドライバーのフリー走行時にピット入り口のホワイトラインカットがあり、グリッド降格のペナルティを受けたが、スタートドライバーの佐々木がそれを払拭するような走りを披露。序盤からライバルと激しいバトルを繰り広げた。
佐々木は2スティント続けて走行を担当し、開始2時間のところで2番手に浮上。その後も、接近戦が続いたST-5クラスのトップ争いで力強い走りを見せた。
日が暮れ、ナイトセッションに突入しても表彰台圏内をキープする走りを披露した101号車だが、開始から6時間30分を過ぎたところで、ST-Xクラスの車両に接触されてしまいスピン。その際の衝撃で左フロントタイヤのホイールが割れてしまうトラブルが発生した。しかし、幸いにもアクシデントが起きた場所が最終コーナーだったため、スロー走行ながらもそのままピットへ戻り、タイヤ交換とマシンの修復を行いコースへ復帰した。
ここで作業時間を含めて約3分ほどのタイムロスとなり、ポジションを落とす原因となってしまった。さらに開始から11時間を迎えるところで、ブレーキトラブルが発生。再度緊急ピットインを余儀なくされた。

このレースではブレーキ交換など、時間がかかる作業を確実にできるように10分間のメンテナンスタイムを行う義務が設けられている。101号車はレースの半分が過ぎた13時間目あたりでメンテナンスタイムを予定していたが、想定よりも早くブレーキに問題が出てしまった。その辺は参戦1年目ということでデータが少ない部分が仇となった。
これにより、さらに順位を落とした101号車だが、ナイトセッションでは主に吉田と佐々木が粘り強くバトンをつなぎ、朝を迎えるとCドライバーのKENBOWが好ペースで周回を重ねた。これにより101号車は上位のライバルとの差を少しずつ詰めていった。

相次ぐトラブルを乗り越え善戦するも……

しかし、そう簡単にレースが進んでいかないのが24時間レースの難しいところ。さらなる不運が101号車を襲った。ゴールまで4時間を迎えるところでミッションにトラブルを抱え、緊急ピットイン。ミッション交換を行うことになった。今回はアクシデントにより セーフティカーが出る機会が少なく、常に全開の状態で20時間以上走ってきたこともあって、他のマシンにも同様のトラブルが続出していた。
通常、ミッション交換となると非常に長い修復作業の時間を要するが、ここで活躍したのが広島マツダのディーラーメカニックたち。全員でマシンを取り囲み、マシンの修復に取り掛かった。通常のディーラーでは時間をかけて作業するが、今回は一刻を争うレースの現場ということで、メカニックたちは確実かつ迅速に作業を進め、約1時間30分でマシンをコースへ送り出した。
このトラブルにより、表彰台争いから完全に脱落することになってしまった101号車だが、それでも24時間レースは確実にゴールするという目標に切り替え、再びチーム一丸となってレースに臨んだ。

ところが……。ゴールまで残り5分を切ったところで、マシンはスローダウン。コース中盤のADVANコーナーでマシンを止めてしまった。原因はガス欠で、ゴールまで1分前というところで、リタイアを余儀なくされた。
まさかの結末となってしまい、片付けをするチームスタッフからも落胆の表情がみられたが、次回の第4戦オートポリスはデミオが得意とするコース。今回の悔しさをバネに好結果を狙いに行く。