2021年のスーパー耐久シリーズ2021 Powered by HANKOOKが開幕。3月20日・21日にツインリンクもてぎで第1戦『もてぎスーパー耐久 5Hours Race』が行われ、103号車ヒロマツデミオ2はST-5クラスで2位表彰台を獲得した。
“結果を求めて”メカニックのローテーションなど新体制を構築
今年でスーパー耐久参戦3シーズン目を迎えたHM RACERS。これまでは1人でも多くの広島マツダのディーラーメカニックにレースの現場を体験してもらうことを重視していた。しかし、その影響で毎回メンバーが入れ替わることとなり、精度向上という点では満足のいかないところもあった。
3年目となる2021シーズンは、さらに結果を求めていくために、現場に入るメカニックを選抜。1名あたり年2回レースに参加できるような編成にした。さらに、レース現場で混乱が起きないよう事前に“実施研修”を行い、サーキットでの本番を想定した作業の確認や訓練も行う。今回の開幕戦に先立って、岡山国際サーキットで“テスト走行”を実施。メカニックらが現場での動きを把握した状態で、もてぎに入った。
予選:ロードスター勢の先行を許し4番手
土曜日に行われた公式予選は曇り空ではあったものの、ドライコンディションの中で進行した。スーパー耐久は、今年からオフィシャルタイヤサプライヤーがピレリからハンコックに変更となり、テスト機会の少ない中で各チームが準備を進めてきた。
103号車は練習走行から大きなトラブルもなく、マシンのセッティングを煮詰めていったが、予選一発の速さとなるとマツダ・ロードスター勢が終始先行する形となった。それでも、Aドライバーの佐々木が2分18秒487、Bドライバーの吉田が2分18秒155をマークし、ST-5クラスで4番手を獲得した。
ここもてぎは、毎年のようにトラブルに見舞われるなど、チームとの相性が良くないところもあったが、予選では順調な走りを見せ、クラス優勝も狙える好位置をゲットした。
雨の中で大きな課題の残る2位表彰台
日曜日の決勝は、前日とは打って変わって大雨となった。各チームがハンコックのウェットタイヤで事前テストをできていなかったため、急きょ決勝レース前に15分間のウォームアップ走行が設けられた。103号車も、そこで初めてハンコックのウェットタイヤを試したのだが、予想以上にタイヤの消耗が早いことが判明したのだ。
最悪の場合、予定しているピットストップの回数を上回るタイヤ交換を強いられる可能性がある状況だったが、スタートドライバーを務めた佐々木は、1周目からタイヤを温存する作戦を徹底。特に雨量の少ない間は無理にペースをあげないように心がけた。
その結果、序盤はポジションを2つ落としてしまうが、雨量が多くなり始めたタイミングから挽回していき、開始から1時間のところでは3番手に戻した。そこから雨足がさらに強くなり、他クラスではコースオフする車両も増えていたが、佐々木は粘り強く走り、開始1時間30分のところでピットイン。妹尾にドライバー交代した。
開始2時間を過ぎたところで、安全確保のためセーフティカーが導入されたのだが、103号車はこのタイミングをうまく利用して2度目のピットストップを敢行。吉田がマシンに乗り込んだ。セーフティカーが解除された時点で、トップを走る66号車マツダ・ロードスターの6秒後方につけたが、少しでもペースを上げようとするとタイヤの消耗が著しくなってしまう状況。最終的にズルズルと引き離される展開となった。
その後も、雨は弱まる気配がなく、開始から2時間45分のところで再びセーフティカーが導入された。天候回復を待ったがその見込みはなく、3時間25分を経過したところで赤旗が出されレースは中断。そのまま再開することなく、16時00分に途中終了が発表された。
これにより、103号車は2位となり、シーズンの初戦から表彰台獲得という幸先良いスタートを切ったのだが、ハンコックタイヤとマシンのマッチングなど、大きな課題の残るレースとなった。
広島マツダ 松田哲也会長 コメント
「今年は各メカニックが年2回ずつ参戦できる環境を整えました。1回目でレース本番を体験し、2回目で勝負してもらうような編成にしています。通年でメンバーを固定して戦う方が効率はいいし、チームも強くなると思いますが、そこは自分の中で許せないところ。やっぱり、将来的に広島マツダというディーラー業の仕事に還元していかなければなりません。そういった意味で、より多くのメカニックに現場を体験してもらうという取り組みは譲れないところです。しかし、一度きりの経験では、何をしていいか分からないまま終わってしまう。だから初回でいろいろ経験し、その体験を踏まえて2回目で勝負してもらいたい。そこで得たことを、普段の店舗業務で活かしてもらえればなと思います」
「S耐の参戦は今年で3年目になりますが、このプログラムで“撒いた種”が育ち始めています。例えば各店舗で若手の子がHMRのメンバーとしてサーキットに行くとなると、店舗内にいる経験者がアドバイスをしたり、情報共有をすることができるようになってきたので、裾野がどんどん広がってきたなというのは実感しています。やっぱりレースの現場は普段やっていることとは違うところもあるので、技術や意識の向上につながっています。あとは、これで優勝ができれば、会社全体の一体感も強くなると思います。今回はちょっと悔しい結果でしたけど、この雪辱を果たせるように次回も頑張ります!」