スーパー耐久シリーズ Powered by Hankookの第5戦『SUZUKA S耐』が9月18日・19日に鈴鹿サーキットで行われ、103号車ヒロマツデミオ マツダ2(佐々木孝太/吉田綜一郎/妹尾智充)は、ST-5クラス10位でレースを終えた。
上位目指すも走り出しから苦戦……
今回の鈴鹿大会は、台風14号接近の影響で金曜日の練習走行から雨模様。
天気予報で「予選日に台風が鈴鹿付近を通過する」と言われていたこともあり、急きょスケジュールが変更された。
これにより、土曜日午前のフリー走行が中止となり、公式予選も予定より1時間遅れでスタート。さらに通常はAドライバーから行うはずの予選をBドライバーから行う…など、当日のコンディション等を考慮した流れに変更となった。
103号車は、前回欠場していた吉田が復帰。佐々木・妹尾とのレギュラー3人体制に戻り、お盆期間中に鈴鹿でテストを行うなどして準備万端で大会に臨んだ。しかし、ロードスター勢が圧倒的優位な状況はここ鈴鹿サーキットでも覆せず、練習走行の段階から大差をつけられている状態だった。
テスト走行を終え、様々な策を練り予選セッションへ。幸い台風も早めに通過し、予選はドライコンディションで行われた。まずは吉田が練習走行でのタイムを上回る2分34秒111を記録し8番手につけると、続くAドライバー予選で佐々木が出走。2分35秒055でこちらも8番手となり、2人の合算タイムでクラス8番手からスタートすることとなった。トップとの差は大きく苦戦が予想されたが、淡々と走ることでチャンスを見出そうと、決勝にむけチーム全員が気を引き締めた。
HMRのケータリングも充実
今回もピット裏には、スタッフの食事を用意するためのキャンピングカーが登場。松田哲也会長の提案により、第4戦オートポリスからケータリングが導入されている。
メニューが限られていた前回の反省点を生かして、今回は予選・決勝としっかりメニューを考案。この鈴鹿大会でも瀬川ゆずさん、梶本奈々さんが調理スタッフとして活躍した。
「グループLINEで皆さんに意見を聞いて、そうめん・ぶっかけうどんなど麺類のリクエストがあったので、今回はサラダうどんにしてみました。コンロの数も限られているので、効率よく調理するにはどうしたら良いか考えたり。結構大変なんですけど、みんなに『美味しい』と言ってもらると嬉しいですね」(瀬川さん)
土曜日はカレーライス、日曜日にはサラダうどんがスタッフに振る舞われ、レース中にも軽食としておにぎりやチキンナゲットを用意するなど、様々なアイディアを出し、タイミングを見計らって2人が用意していたのが印象的。
「決勝日は思いのほか暑くなったので、サラダうどんにして良かった。みんなも『美味しい!』と喜んで食べてくれ、おかわりしてくれる方もいました。でも、作れば作るほど欲が出てきますね。『彩りを考えると、これに卵を入れたいね』という話になったり。『次はあれが欲しい!これをやりたい!』という気持ちになっていきます」(梶本さん)
次戦に向けて早くも試行錯誤を始めた2人。ケータリングを導入したことで、スタッフの表情が明るくなり、業務効率UPにも繋がっていると感じた。次回の岡山ではどんな料理が出てくるのか、今から楽しみである。
レースクイーンも“チーム広島”で統一、応援にもより熱が入る
今シーズンも、HM RACERSを応援する2名のレースクイーンが毎回サーキットに登場。2021年は西崎華弥さんを中心に、天間晴香さんらが“HM Ready’s”として活躍中だ。
「もともとS耐の別のチームでレースクイーンをしていたのですが、広島マツダにレーシングチームがあることを知って、オーディションを受けたい!と思いました」(天間さん)
「憧れはあったんですけど、チャンスもきっかけもなくて。SNSとかを見て『レースクイーンっていいな』と思っていました。1年ほど前から広島マツダさんが運営しているモデル事務所に所属していて、そこでHM RACERSのオーディションの話を知り『絶対にやりたい!』と思って応募しました」(西崎さん)
HM RACERSは“広島発”にこだわりがあり、じつはレースクイーンも全員・広島出身。そのせいか、チームの連帯感が強く、応援にも自然と力が入るのだという。
「私たちは生まれも育ちも広島で、地元が大好き。広島のチームをレースクイーンとして応援できるのは嬉しいし、こういうきっかけをいただけた事にも本当に感謝しています。メカニックさんと話したり、決勝前のグリッドで皆さんと一緒に写真を撮ったり。すごく楽しくお仕事させてもらっています」(天間さん)
「私は生粋の広島っ子で、広島を出たことがほとんどなかったんです。だから、レースで色々な会場に行けるのはすごく新鮮ですし、レースクイーンをきっかけに色々な経験をさせてもらっているのも嬉しい。広島県民の団結力はすごいので、仲の良さという点ではどこにも負けないと思います!」(西崎さん)
スタッフのみならず、レースクイーンも“広島一色”で戦うHM RACERS。
広島を通して1つになることが、まさにチーム全体の団結力を強める大きな要素となっている。
決勝で挽回目指すも不運なアクシデントに見舞われる
迎えた日曜日の決勝レース。台風一過で晴天となり、午前11時30分にスタートが切られた。
通常なら佐々木がスタートドライバーを務めるが、今回は吉田が第1スティントを担当。序盤にひとつポジションを上げ、そこから上位のマシンを追いかけようとしたが、予選同様にライバルの方がハイペース。吉田も粘り強く走ったが、なかなか順位を上げることができなかった。
1回目のピットストップは、スタートから約1時間15分が経過した31周目に敢行し、ここで妹尾にドライバーを交代。地道に走って上位進出のチャンスを見出そうと踏ん張り、混走でペースを落とさない走りを心がける妹尾。
ところが、スタートから2時間を迎えようというところで、ST-Xクラスのマシンに接触されコースアウト。コンクリートウォールへ接触した際にフロントバンパーを破損したため、急きょピットに戻って復旧作業を行った。
完全なイレギュラー作業にも関わらず、各店舗から派遣された広島マツダのディーラーメカニックたちが、トラブルに迅速に対応。フロントバンパーをガムテープで繫ぎ止めるなどの応急処置を行い、マシンを再びコースに送り出した。しかし、ここでのタイムロスは非常に大きく、一気にクラス最下位まで後退。9番手の車両に対して1周遅れという厳しい状況を迎えてしまう。
この復旧後も、接触によるバンパーのズレからエンジンの水温が上昇し、走行性を損なったため修正でまたピットイン。表彰台争いから完全に離脱する形となった103号車だが、チーム全員でゴールまで諦めることなく周回を重ねた。
スタートから2時間40分が過ぎたところで、ドライバーを佐々木に交代。順調に周回を重ね、前走が見えるところまで挽回するも、運営から「車両下部で何か引きずっている」との指摘が入り、確認のため再度ピットインする事態に。再び8分弱のタイムを失うという痛手を負う。レース終盤には再び吉田が運転席へ。数々の苦難を乗り越えた103号車は106周でチェッカーを受けたが、途中のアクシデントでの遅れが響き、トップからは7周遅れのST-5クラス10位で第5戦の幕を閉じた。