7月20日・21日にピレリ・スーパー耐久シリーズ2019の第4戦『TKU スーパー耐久 レース in オートポリス』が大分県のオートポリスで行われ、101号車ヒロマツ デミオ(吉田綜一郎/佐々木孝太/KENBOW)は念願のチーム初優勝を飾った。
新パーツ導入もマイナートラブルに苦しめられる
ここオートポリスはデミオにとっては有利に働くコースではないかという前予想があっ たが、実際に走り出してみるとマツダ・ロードスターをはじめライバル車の方が速さをみせた。今回も少し苦しい戦いになるかと思われたが、チームは諦めずに最良のセッティングを探し続け、予選に臨んだ。
Aドライバー予選は吉田が担当し2分16秒024を記録。そこからフィードバックを受け、さらに再調整したマシンでBドライバーの佐々木がタイムアタックを行い、2分15秒505をマークした。これにより総合でST-5クラス4番手からスタートすることになった。
目まぐるしく変わる天候を味方につけ、チーム初勝利を掴む
迎えた21日(日)の決勝レースは、朝から雨模様となりウエットコンディションの中でレースがスタートした。今回は全クラス混走の5時間耐久レースで、途中に3回のドライバー交代を伴うピットストップが必要となる。
101号車ヒロマツ デミオは佐々木がスタートドライバーを担当した。スタート進行が始まると雨が止んだが、路面がまだ濡れていたこともありレインタイヤを履いてスタートを切った。レース序盤はアクシデントが多発したこともあり、フルコースイエローが何度か導入され、その途中には雨も降りだすなど、レース戦略の組み立てが非常に難しい展開となった。
目まぐるしく変わるコンディションの中で佐々木はレインタイヤで粘り強く周回を重ね、47周を終えたところでピットインし吉田に交代。ここで路面コンディションを考慮しスリックタイヤを導入。レース中盤は雨も止み、吉田は安定したペースで周回を重ねていき、レース後半の82周目にはクラストップに浮上した。
それでも強力なライバルたちを相手に一瞬も気が抜けない状況が続いたが、レース終盤になるに連れてST-5クラスで上位を争っていたライバルたちが次々とトラブルやアクシデントで脱落。徐々に101号車のアドバンテージが広がっていった。
チェッカーまで残り1時間のところで再び雨が降り出し、瞬く間に路面はウエットコンディションになった。ここで101号車もピットインしレインタイヤに交換。KENBOWにドライバー交代した。
この直後、コース上でクラッシュ車両が発生しフルコースイエローが導入された。実は101号車は今回のレースで義務となっている3回のドライバー交代を伴うピット作業を消化していなかったが、このタイミングを利用してピットインし、佐々木が再びマシンに乗り込んだ。
レース終盤に向けてピットアウトしたが、さらに雨脚も非常に強くなったこともあり、 安全確保のために残り45分のところでセーフティカー先導に切り替えられた。天候回復を待ったものの、切りまで発生してしまいゴール13分前に赤旗が出され、そのままレースが終了。101号車はクラスのトップの座を守り抜き、参戦4戦目にして悲願の初優勝を飾った。
広島マツダ 松田哲也 代表取締役会長兼 CEO コメント
「最初はS耐に出て、まさか1年目のこのタイミングで勝利をプレゼントしてもらえるとは思っていなくて、改めて(佐々木)孝太くんはさすがだなと思いました。あとオートポリスは優勝を狙っていた部分もあったので、それが見事に当たって本当に嬉しいです。今回は天候不良で途中終了でしたが、今度はちゃんとチェッカーを受けてトップでゴールしたいですね」
「このプロジェクトは最初こそメカニックたちの経験のひとつになれば……と思っていたのですが、彼らがレースの現場に来るたびに目が輝いているし、『レースメカニックを体験したい』という人も増えています。モータースポーツの現場でメカニックとして戦うことのステータスとか誇りとかを感じて帰ってきてくれているのも本当に嬉しいです。さらに、この現場を経験することで技術の向上して、サービスや仕事に対する取り組みも他のディーラーとは違う経験をすることで、メカニックたちのレベルをさらに高いところに持っていけます」